ウラジロコムラサキ

 

小笠原固有種のクマツヅラ科の草本類で、環境省レッドデータでは絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されています。

父島列島の一部の山域の、岩場で風の強く当たる場所に適応して生息しています。

樹高は約1m程度の常緑小低木で、6月ころに紫色の小さな花が固まって咲きます。

小笠原固有種であるシマムラサキ、オオバシマムラサキと近縁種で、オオバシマムラサキは森林の外縁部や裸地、シマムラサキが森林内のやや湿った場所に多いのに対し、ウラジロコムラサキは岩場で風の強い場所に進出した種であるといわれ、そうした環境に適応するために葉は小型で厚く、白い綿毛に覆われています。特に葉の裏は綿毛が密生することから、「ウラジロ」の名があります。

この3種がそれぞれに環境に適応していったあり方は、小笠原諸島が世界自然遺産登録された理由である「進行中の生物学的な過程の顕著な見本」としての生態系のわかりやすい例だといえます。

他の固有植物と同様にノヤギの食害を受けており、株数が激減しています。また、株数が減っていることによる遺伝的な多様性の低さも問題とされています。

2004年に国内希少野生動植物種に指定され、東京大学附属植物園での増殖技術の開発や自生地での増殖試験、ノヤギの侵入防止策の設置などの保護増殖事業が行われています。

 

参考:小笠原植物図譜 改訂増補版(豊田武司 編著)

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