お知らせ

小笠原諸島世界自然遺産地域登録10周年記念「小笠原学術研究会」の開催について

2022年2月4日(金)環境課

遺産登録10周年を記念して、これまでの小笠原諸島世界自然遺産地域について、科学的見地から評価し、世界自然遺産として未来へつないでいくために、「小笠原学術研究会」を開催しました。

1.開催日時

令和4年2月23日(水・祝日)10:00~16:30

2.主催

小笠原学術研究会実行委員会<実行委員長:可知 直毅(東京都立大学)>

(運営事務局:環境省関東地方環境事務所、林野庁関東森林管理局、東京都、小笠原村)

3.開催報告

①テーマ別セッション

「管理制度」、「合意形成」「植物」、「動物」をテーマとした分科会(セッション)を開催しました。小笠原の研究者及び地元関係者による講演、意見交換を行い、小笠原諸島世界自然遺産地域の登録後10年間を科学的見地から振り返りました。

■セッション1:世界自然遺産の将来と展望

【講演者】 吉田 正人:座長(筑波大学大学院)
中村 太士(北海道大学大学院農学研究院)
星野 一昭(IUCN 理事)

国内の他の自然遺産地域である屋久島、知床、奄美琉球の管理体制を紹介いただきながら、世界自然遺産の制度や仕組みから小笠原諸島世界自然遺産地域における管理体制についての議論がなされました。

将来展望としては、遺産地域と周辺の保護地域との生態系ネットワークを構築する必要性、遺産保全が地域の生活の豊かさにつながること、国内5つの世界自然遺産をフラッグシップとして保全管理、調査モニタリング、情報公開などのモデルとすることなどの意見が挙がりました。

■セッション2:世界遺産価値保全に向けての地域連携のあり方 ―小笠原、奄美、知床をつなぐ―

【講演者】 織 朱實:座長(上智大学大学院)
堀越 和夫(小笠原自然文化研究所)
薮内 良昌(小笠原野生生物研究会)
栄 正行(日本航空株式会社 鹿児島支店奄美営業所)
初海 淳(知床ブランディング・クリエイティブディレクター)

小笠原諸島世界自然遺産地域の管理にあたって、他地域の事例を紹介いただきながら、地域と協働して遺産価値を維持・保全・利用していくためのあり方について考えました。

事例紹介を通じて、地域参画の新たな仕組みの導入、地域人材の育成強化、地域住民の自発的参加・モチベーション維持醸成の仕組みづくりなどの重要性が認識されました。

■セッション3:植物をめぐる10年間の歩み

【講演者】 清水 善和:座長(駒澤大学)
浅井 健吾(小笠原グリーン株式会社)
安井 隆弥(小笠原野生生物研究会
石田 厚(京都大学 生態学研究センター)
加藤 英寿(東京都立大学)

小笠原諸島の「植物」に着目し、遺産登録から10年間が経過した現状を整理、評価しました。

「気候変動と植生への影響」、「遺伝子レベルの研究成果と応用」、「外来種駆除の成果と課題」についての講演後、小笠原の森林環境とそこに生育する希少種に分けて整理され、森林環境では維持するための効果的な外来種駆除手法の開発、希少種では遺伝的多様性も加味した域外保全の充実とまとめられました。

■セッション4:外来種問題はさておき、小笠原の動物の価値と魅力ってなんだ?

【講演者】 川上 和人:座長(森林総合研究所)
岸本 年郎(ふじのくに地球環境史ミュージアム)
佐々木 哲朗(小笠原自然文化研究所)

鳥類と土壌動物、水生動物の講演後、普段あまり注目されていないものの重要な機能や特殊な進化が見られる生物の新たな面白さ、魅力、価値について話し合いました。

話し合いを通して、注目されていなくても非常に魅力的で高い進化的な価値を有する生き物がいること、小さな海洋島の集まりであるというユニークさに起因する生物の魅力や価値を研究者として発見していくことなどの意見が出されました。

②トークセッション

実行委員長のもと、①の座長によるテーマごとの振り返りも行いながら、他の世界自然遺産地域における研究者を迎え、「「小笠原諸島世界自然遺産」を未来へつなげていくために」をテーマに課題と展望について全体会(トークセッション)を行いました。

今後の課題・方向性として、科学委員会と地域連絡会議の役割の明確化や、モニタリングや情報公開等の強化、順応的管理システムの点検、気候変動適応策の検討、駆除後の在来種植栽等の森林復活試案の導入などが挙げられました。

また、研究者の役割として、情報が不足している地域での生物相調査の実施、小笠原の自然・生き物の新たな魅力や価値の発見、大陸島である奄美沖縄の魅力と併せた情報発信、目標林型の提示、暮らしの中への遺産の位置づけ、保全管理の大方針・優先順位・到達点の再整理などの意見が出されました。


全体会(都立大会場)の参加者
左から、星野一昭、松山 洋、可知直毅、吉田正人、織 朱實、清水善和、川上和人の各氏。
(小笠原研究年報45号(2022)PDF版(可知直毅ほか)より転載)

4.視聴・申込方法【受付終了】

ウェブ配信により実施します。参加無料です。

下記のWEBフォームよりお申込みください。お申込みいただいた方から順次、当日ご視聴可能なURLをメールにてご連絡いたします。

お申込み先:https://forms.gle/ddAzk1U9JQXxn42GA外部サイトを別ウィンドウで開きます


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